浜内千波先生インタビュー

料理研究家 浜内千波

料理研究家浜内千波

『家庭料理をちゃんと伝えたい』……という思いで、料理教室を主宰。
『料理は、もっともっと夢のある楽しいもの』をモットーに、テレビ番組や料理ビデオの出演、講演会、雑誌や書籍の執筆活動、各種料理講習会への参画を積極的に行い、その発想のユニークさやクリエイティブな仕事には定評があります。

浜内千波先生に簡単でおいしいかんぴょうレシピを開発していただきました。レシピ開発のお考えや家庭料理への思いをうかがいました。(2013/08/21)

―かんぴょうはどんな食材だとお考えになりましたか?

料理研究家 浜内千波  インタビュー

 かんぴょうは、伝統食材として長く利用されているけれども、日常的な食材としては、手に取ってもらいにくい、手に取ってもらうには、何か動機が必要、そんな食材だと思います。
 伝統食でも納豆やヨーグルトは、本当によく食べられています。何が違うかというと、栄養が良いことがよく知られていて、何も手をかけなくてもそのまま食べることができる食品だということです。現代の家庭料理では、手間がかかることは避けたいし、健康に良いものを摂りたいという思いもありますから、かんぴょうに限らず食卓に上がる食材は、絞られがちだと見ています。
 かんぴょうは、栄養的にも優れた食材で、ミネラルや食物繊維が豊富な野菜のひとつです。そのように考えたらレシピのアイデアがぐっと広がると思いませんか?
 かんぴょうは、そのまま揚げても、炒めても、煮てもよくて、調理の幅がとても広いんです。どなたも、かんぴょうは、水で戻して下ゆでをするという手間があると思っていますが、必ずしもそうではありません。いつものやり方ではない方法でかんぴょうのおいしさを引き出したいと考えました。いつもと違うちょっとしたアイデアが家庭料理を楽しくさせるのではないでしょうか?

-そして、3つのレシピを開発していただきました。かんぴょうサラダのカリカリとした食感には驚きました。

 カリカリかんぴょう、甘いでしょう?今、クッキングスクールの方でもこのメニューを取り組んでみているのですが、生徒さんにも大好評でした。やっぱり、新しく作ったおいしいものは、ご家庭に帰っても、どう?おいしいでしょう?と、作ってみたくなるし、会話も楽しく弾みます。
 もちもちかんぴょうご飯やミネストローネも、簡単に作れて新しくておいしいというところが引き出せたでしょうか?かんぴょうといえば、伝統的なお料理があってそれはおいしいものですが、日常的な食卓に登場する、和風に限らないレシピにしてみました。ご家庭で気軽に作っていただくために、材料の食材は絞っています。
 私のレシピは、100%の完成形でそっくりそのまま作ってくださいというものではなく、余白のあるレシピなんです。家庭料理できちっとレシピ通りに作るのは息苦しいものです。
 私は、懇切丁寧な完璧なレシピには、2つの欠点があると思っています。ひとつ目は、できる人は読んでも作らないということ、ふたつ目は、作っても覚えられないということです。
 私のレシピ通りにするというよりも、その時にある食材を加えるなど、料理する方のもう一工夫を楽しんでそのご家庭の味にしていただきたいと思います。先程、かんぴょうは野菜のひとつと言いました。その特徴をとらえて、いつものやり方にとらわれずに考えたらいろんないただき方があります。みなさんにもいろいろ試していただきたいですね。

-先生の家庭料理への思いをお聞かせください。

 よく家庭料理というと、一昔前のものがそれであるように思われている方もいらっしゃいますが、家庭料理というのは、今まさにあるものがそうであると考えています。
 今、家庭料理のキーワードは、「時短」「健康」「おいしい」「シンプル」ではないでしょうか?また、日々の料理をおいしく健康的にと考えると、毎日同じわけにはいきませんから、何か工夫が必要です。その工夫が、生活や自分自身をレベルアップさせることにも繋がっていると思います。
 私自身も自分の家庭での料理は訓練場と考えているんですよ。先日は、豆腐サラダを作りました。豆腐といえば冷奴のようなものを想像されるかもしれませんが、うちの豆腐サラダはぐちゃぐちゃにして、ジェノベーゼソースやチーズを入れる。全体がクリーミーなチーズのようなサラダになります。
 いつも同じではつまらない、家族を健康にそして喜ばせたいという気持ちで取り組んでいるとささやかな発見があったりします。何か発見するってわくわくして楽しいことでしょう?私はそれをとても楽しんでやっています。

-浜内先生のかんぴょうレシピが初めてのかんぴょう料理という方もいらっしゃるかもしれません。お料理する方にメッセージをいただけますか?

 いつも使う食材は、そんなに多くないし、今日の料理は何にしようかな?と決まるまでの経路も、なかなか変化がないものです。ぜひおすすめしたいのがそこをチェンジしてみることです。レシピサイトで料理を決めて買い物に行くとか、帰りにスーパーに寄って食材をみながらメニューを決めるとか、そんないつもの流れに変化を加えてみてはいかがでしょうか?行動の変化が新しい発見を生むものだと思います。そんな風に新しい味を作ることを楽しんでいただきたいと思います。かんぴょうレシピもこれまでになかった味として提案しました。ぜひお試しいただければと思います。

かんぴょうの下ごしらえ
かんぴょうの保存方法
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